金星に突き動かされるように買ったカメラと共に、早朝3時から鎌倉山へ。
静まり返る夜の中に、薄赤い色をして金星が昇ってきた。
今日までカメラを出さなかったのは、きっと最初の日が今日だったからだ。
これから地球の行く先にある、輝く明けの明星。
未来の光を今ここで受け取る。
目で見た感動のこの一瞬を切り取る感覚に、シャッターを切るごとにワクワク。
なんだか言葉にならない涙が出る。あまりに金星が美しいからなのか、地球が太陽系の仲間たちと宇宙を巡るのを静かに感じられるからなのか。
地球という星に生まれてよかった。螺旋に旅をするこの星の中で、生命を味わえる喜び。
今という瞬間は、なんて美しいんだろう。
4時頃からスピードを上げるように、刻々と空の色が変わる。太陽が来る。太陽が来る。朝が来る。
先日、開知くんがシェアしていた「朝のリレー」が私の真実となって躍動していた。
目視できる限界まで、金星が見えなくなる瞬間まで見送って、今日の私の朝が来た。また奇跡のような１日が始まった。
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『朝のリレー』 谷川俊太郎
カムチャッカの若者が きりんの夢を見ている時
メキシコの娘は 朝もやの中でバスを待っている
ニューヨークの少女がほほえみながら 寝返りをうつとき
ローマの少年は頭柱を染める 朝陽にウインクする
この地球では いつもどこかで 朝がはじまっている
ぼくらは朝をリレーするのだ 経度から 経度へと
そうしていわば交替で地球を守る
眠る前のひととき 耳をすますと
どこか遠くで 目覚まし時計のベルが鳴っている
それはあなたの送った朝を
誰かがしっかりと受け止めた 証拠なのだ
…
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